価格変動リスク(金融商品の販売について、金利、通貨の価格、金融商品市場における相場その他の指標に係る変動を直接の原因として元本欠損が生ずるおそれ)
1.不動産市場の影響による対象不動産の価格変動リスク
対象不動産の価格は、不動産市場の影響を受けて変動しますので、売却時の市況等、様々な要因で処分価格が下落する場合があります。一般的に、不動産は代替性に乏しく、また流動性が相対的に低いため、売却を希望する時期に対象不動産を売却することができない可能性があります。なお、一般的に不動産は個別性が強いため、その売却の際には、不動産をめぐる権利関係の精査、建物テナントの状況、建物賃貸借契約等の実態に関する精査、修繕履歴の精査、建物状況評価、環境調査及び不動産鑑定評価を含む物件の精査、関係者との交渉等、売却手続きに多くの時間と費用を要することがあります。
また、税制の変更により対象不動産の保有や処分に関する租税公課の負担が増大する場合等においては、出資金の返還額が当初出資金額を下回ることがあります。
契約期間中の本契約の解除あるいは出資持分(匿名組合員たる地位)の譲渡を行う場合は、その時点での経済情勢、不動産市場、組合運営状況等により出資金の返還額又は出資持分(匿名組合員たる地位)の価格が当初出資金を下回ることがあります。
2.余裕金の運用対象の価格変動リスク
本事業に生じた余裕金は、法施行規則第11条第2項第14号に掲げる方法により運用するものとします。
そのため金融機関の破綻等により損失が発生し、出資金の返還額が当初出資金額を下回ることがあります。
3.上記の元本欠損が生ずるおそれを生じさせる取引の仕組み
上記の元本欠損が生ずるおそれを生じさせる取引の仕組みとしては、以下のようなものが挙げられます。
本事業者は、本出資者に対して本契約の定めに基づき金銭の分配を行う予定ですが、金融商品取引法や出資法などの諸法令において出資金の元本保証は禁止されており、本事業から生ずる損益の分配の有無及びその金額は保証されておりません。
本契約に基づく出資金は、有価証券、預貯金、保険契約とは異なり、投資者保護基金、預金保険機構、貯金保険機構、保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。
また、本事業者が行った不動産取引により生じた損失が出資金の返還額を減少させることがあります。
信用リスク(金融商品の販売について、当該金融商品の販売を行う者その他の者の業務又は財産の状況の変化を直接の原因として元本欠損が生ずるおそれ)
万が一、本事業者の破綻等により、事業継続が困難となった場合、本契約は終了します。
匿名組合勘定に係る財産は、本事業者の固有財産及び他の不動産特定共同事業契約に係る財産と分別して管理されますが、当該分別管理は信託法第34条の分別管理とは異なるため、本事業者たる不動産特定共同事業者が破綻したことなどにより本事業の運営に支障をきたした場合には、債権者から本事業者に対して破産等の倒産手続の申立て、資産に対する仮差し押さえ、差し押さえ、又は同様の処分が行われることにより、本出資者の出資金全額が返還されないおそれがあります。
その他のリスク(上記リスクを揚げるもののほか、当該金融商品の販売について顧客の判断に影響を及ぼすことなる重要なものとして政令で定める事由を直接の原因として元本欠損が生ずるおそれ)
1.法令・税制及び政府による規制変更のリスク
不動産、不動産特定共同事業及び匿名組合契約に関する法令及び税制等の規制、若しくはかかる法令及び税制等の規制に関する解釈、運用、取扱いが変更された場合、公租公課等の費用負担が増大し、その結果、事業利益に悪影響を及ぼす可能性があります。また、出資持分に係る利益分配、出資持分の払戻し、譲渡等に関する法令及び税制等の規制、又はかかる法令及び税制等の規制に関する解釈、運用、取扱いが変更された場合、出資持分の保有又は売却による手取金の額が減少する可能性があります。
税制の変更により、事業参加者及び本事業者の税負担の増加により、当初の想定する利益分配が下落することがあります。
2.不動産の滅失・毀損・劣化リスク(災害リスク、環境リスク)
対象不動産の一部または全部が、地震などの災害、あるいは、戦争、暴動、テロ等によって滅失・毀損または劣化した場合、土壌汚染等の隠れた瑕疵が見つかった場合、賃料の下落や不動産売却価格の下落が生じ、損失を被ることがあります。また、本事業の継続が著しく困難であると本事業者が合理的に判断した場合、又は対象不動産を途中で売却した場合には本契約を終了する場合がありますが、出資の価額の返還において当初の出資の価額より下回る場合、又は返還されないおそれがあります。
3.不動産の物的及び法的な欠陥・瑕疵に関するリスク
不動産には権利、地盤、地質、構造等に関して欠陥、瑕疵等が存在している可能性があります。
また、物件精査で判明しなかった欠陥、瑕疵等が取得後に判明する可能性もあります。
そのような場合には、当該欠陥、瑕疵等の程度によっては対象不動産の資産価値が減損することを防ぐために取得者である本事業者が当該欠陥、瑕疵等の補修その他に係る予定外の措置、費用を負担することになり、本出資者に損失を与える可能性があります。
また、我が国の法制度上、不動産登記にはいわゆる公信力がありません。従って、不動産登記簿の記載を信じて取引した場合にも、買主は、不動産に係る権利を取得できないことや予想に反して第三者の権利が設定されている可能性があります。このような場合、本事業者は、売主等に対して法律上又は契約上許容される限度で責任を追及することとなりますが、その実効性があるとの保証はありません。
4.不動産の所有者責任にかかるリスク
対象不動産の瑕疵を原因として、第三者の生命、身体又は財産等が侵害された場合に、それを原因として、本事業者が損害賠償義務を負担する可能性があります。
特に、土地の工作物の所有者は、民法上無過失責任を負うこととされています(民法第717条)。したがって、本事業者が保有する不動産の設置又は保存に瑕疵があり、それを原因として、第三者に損害が生じる場合には、最終的に本事業者が損害賠償義務を負担する可能性があります。
これにより本事業に係る費用が増大し、その結果、出資金の償還と利益分配に悪影響が及ぶ可能性があります。
5.不動産の売却又は賃貸に関するリスク
①分配金の変動に関するリスク
本事業における本事業者の収入は、主として本事業者が所有する対象不動産の売却及び賃貸収入に依存しております。対象不動産の売却または賃料収入は、対象不動産の稼働率の低下、賃料水準の低下、入居者による賃料の支払債務の不履行又は遅延、本事業者とテナントの合意による賃料の減額、借地借家法第32条に基づく建物テナントから本事業者に対する賃料減額請求権の行使による賃料の減額等により、減少することがあります。また、対象不動産につき、滅失、毀損又は劣化等が生じ、修繕が必要となる場合には、かかる修繕に関連して多額の費用を要する可能性があります。経済状況によっては、インフレーション、為替の変動、不動産管理や建物管理に係る費用、備品調達等の管理コスト及び各種保険料等のコストの上昇、公租公課の増大その他の理由により、対象不動産の運用に関する賃貸費用が増加する可能性があります。
このように、対象不動産からの賃料収入が減少もしくは賃貸費用が増加した場合、本出資者への分配金が予定分配率を下回ったり、まったく支払われない可能性があります。
②マスターリース方式に関するリスク
マスターリース方式を採用する場合において、一般的に賃借人たるマスターレッシーに対象不動産の一部又は全部を転貸させる権限を与えた場合には、営業者は、対象不動産に入居するテナントを自己の意思により選択できなくなり、あるいは退去させられなくなる可能性があるほか、特にマスターレッシーの賃料が転借人から転貸人たるマスターレッシーに対する賃料に連動する場合は、転借人の信用状態等が、営業者の収益等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、マスターリース契約(賃貸借契約)が合意解約された場合や債務不履行を理由に解除された場合であっても、かかる敷金等の返還義務が賃貸人に承継される可能性がある。かかる事態に備え、マスターリース契約(賃貸借契約)上、契約終了時に、転貸人が賃貸人に対し、受け入れた敷金等を引き渡すよう定められることが通常だが、かかる引渡義務が完全に履行されなかった場合には、敷金等の返還原資は賃貸人たる営業者の負担となり、営業者の収益等に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
さらに、本出資者に対する金銭の分配は、マスターリース契約(賃貸借契約)の賃借人であるマスターレッシーが支払う賃料を原資として行われます。したがって、マスターレッシーの信用力が悪化し、マスターレッシーによる賃料の支払が期限通り行われなかった場合には、本事業における営業者の収入が不足し、ひいては本出資者に対する金銭の分配がなされないおそれがあります。マスターリース契約(賃貸借契約)であっても、当該マスターリース契約に基づく解除権、解約権その他期間満了前の契約終了事由又は契約期間の満了により、当該マスターリース契約がファンドの運用期間中に終了する場合があります。
6.解除又は譲渡に係る制限
本出資者からの本契約の解除は、クーリングオフ及びやむを得ない事由による解約を除き、原則認めておりません。また、出資者たる地位の譲渡に際しては、本事業者の承諾が必要であり、原則として本事業者がその裁量に基づいて譲渡の可否を判断することから、組合運営に支障が出る可能性がある場合には譲渡が認められないことがあります。また、出資者たる地位の譲渡手続きは、契約にて定められた方法による制約を受けることになります。さらに、出資者たる地位の流通市場は現在確立されておらず、その流動性は何ら保証されるものではありません。したがって、本出資者が希望する時期、金額等の条件にて組合員たる地位を換金化することができない可能性があります。
7.匿名組合契約の終了に関するリスク
本契約は、対象不動産全部の売却等の完了、本事業の継続の不能、本事業者に係る破産手続開始の決定、出資総額が本事業に対する当初の出資予定総額に満たない場合であって、本事業者が自らの資金を利用した出資を行わないとき、その他のやむを得ない事由があるとき、のいずれかが生じた場合には、本契約は終了します。
本契約が終了した場合には、本出資者は本来得られたであろう分配金を受ける出資機会を、喪失することとなります。
8.匿名組合員は本事業に関する指図ができないことに関するリスク
本契約は、対象不動産の不動産取引から生じる損益の分配を受ける商法上の匿名組合契約となります。本契約において本事業の遂行は本事業者のみが本事業者自身の裁量で行うものであり、これらについて本出資者が直接指示を行うことはできません。
但し、本出資者は計算期間ごとの財産管理報告書の送付を受け本事業者の業務執行状況及び本匿名組合の財産状況等につき質問し意見を述べることができます。
9.契約の解除及び買取が一時的に多発することに関するリスク
契約の解除が多発した場合は、不動産取引(本事業)が継続できなくなるおそれがあります。
この場合、本事業者は、対象不動産の全部又は一部の売却等が完了するまで、出資価額の返還としての金銭の支払を留保することができるものとします。
10.本事業者との利益相反に関するリスク
本事業における対象不動産を、本事業者の固有の勘定もしくは他の不動産特定共同事業に売却等を行う場合、当該移転に際しての対価の決定において、利益相反に関するリスクが生じます。